Shin's Book Review 1

 京都・NHK・ESSの Paperback freak, Shin が読んだ英語の本を紹介していきます。
 本のジャンルはShinの趣味を反映してかなり偏ったものなっていますが、大学生の頃からずっと読み続けているので中には貴方の興味をひく作品があるに違いありません。。
 紹介されている本の中で読みたいと思うものあったら、所有者へ直接お問い合わせください。

 結婚後も、ちょっと不満げな奥さんにもめげず、今日も新たな作品を読みつづけています。
 読んだものから逐次 review していきますので、今後ともどうぞ宜しく。

 また、面白そうな本があったら教えてください。


● Detective (by Arthur Hayley)    Reviewer: Shin FUJITA
Detective
paperback (1997)
595 p

Story:
 連続殺人犯、"Animal" Doil の死刑執行は数時間後に迫っていた。
 最後のとき、Doil は「告白」をしたいと申し出る。誰あろう彼を刑務所へ送りこんだ刑事、Malcolm Ainslie に。
 好む好まざるにかかわらず、Ainslie にはこの犯罪者の希望に添わざるしかなかった。
 何故なら、Doil はおぞましい老夫婦殺人の犯人として有罪判決を受けたものの、彼の「告白」は未解決のさらに10に及ぶ殺人事件に決着をつけることになるかもしれないからである。

 しかし Ainslie がそこで知った事実は彼に新たな捜査を開始させることになる。
 市当局のエリート、さらには信頼していた何人かの同僚への疑惑へとつながる捜査に。。。

Rating: ★★★★★
 Hayley 久しぶりの新作です。
 もうかなりのお歳と思いますがさすが Hayley、見事です。
 ストーリー展開は練られたもので先へ先へと読者をひっぱっていくに足るものですし、人物や情景描写もしっかりしていてリアリティに富んでいます。ストーリの舞台となるマイアミ市のようすなども生き生きと伝わってきます。
 また、メインストーリーのそこここにちりばめられた、各登場人物にかかわるサイドストーリも面白く読めます。
 元教会の牧師で聖書の研究で博士号を持っているという設定の主人公、Ainslie のキリスト教に関する意見などは米国知識階級の宗教観などが垣間見られるようで興味深く読めます。

 読む価値は充分にあると思います。

English Level: Advanced
 英語のレベルは、いくらかこの種のものを読みなれていないと難しいと感じるかもしれません。
 でも、使われいる単語などにはそれほど特殊なものはありません。

 約600ページとちょっと長いのが難かもしれません。



● The Rain Maker (by John Grisham)    Reviewer: Shin FUJITA
Story:
 Rudy Baylor は資格取立ての新米弁護士である。
 彼は一件の訴訟を手がけている。
 彼の手がけている唯一の訴訟。そして、彼を多額の負債から開放してくれるかもしれない訴訟を。

 それは大手保険会社に対する契約不履行訴訟である。
 保険会社は保険料の支払いを拒み、ひとりの若者の命を奪ったのである。

 勝訴すれば何百万ドルかの賠償金を勝ち取ることが可能である。
 ただひとつの問題は Rudy は未だかつで裁判を戦った経験がないということ。
 そして彼の相手は弁護士の中でももっとも高額報酬な者からなるベテランチームである。。。

Rain Maker
paperback (1995)
568 p

Rating: ★★★★☆
 はじめの三分の一くらいはなかなか話しが進みません。本題に入る前の舞台と雰囲気つくりなのですが、読んでいてちょっと退屈するかもしれません。
 それでも、主人公の通う Law school の雰囲気やらは伝わってきます。

 半ば前から話しは展開します。
 ベテラン弁護士にはじめは押され気味だった主人公も何人かの仲間のもと反撃を開始します。
 この辺はなかなか痛快でどんどん読めます。

 そして最後にはちょとしたどんでん返しが。
 まあ結構、楽しめます。

English Level: Advanced
 はじめは法廷用語を辞書で引く必要があります。
 ちょっと長いでしょうか。



● The Day of the Jackal (by Fredrick Forsyth)    Reviewer: Shin FUJITA
The Day of the Jackal
paperback (1971)
412 p

Story:
 超一流の暗殺者 Jackal は、フランスOASからドゴール大統領の暗殺を依頼される。
 Jackal は綿密な計画のもと特製のライフル、偽造パスポートを用意し変装してフランスへと侵入する。

 一方、フランス警察は腕利きの Lebel 警部を Jackal の捜査に当てる。

 巧みな方法でフランス国内に潜伏、パリへと向う Jackal と警察組織の全勢力を上げて彼の逮捕を目指す Lebel 警部の息詰るような追跡劇が展開されていく。

 そして、パリ開放の記念日にモンパルナス駅広場で民衆の前で演説をするドゴールの顔を Jackal はライフルのスコープに捉える。。。

Rating: ★★★★★
 ご存知、映画化もされた Forsyth の名作サスペンス。
 舞台は、イギリス、ベルギー、イタリアそしてフランスへ息を呑むペースでと展開していきます。
 Jackal が暗殺の準備をすすめるところの描写はあまりにリアル。そのリアルさ故に、旧ソ連では当局の命令で小説の連載がストップされたということです。

 評者は学生時代に日本語訳を読みました。そのときも面白いと思ったのですが、ヨーロッパへ行く機会も持ったいま読み直すと、そのリアリティがより一層つよく感じられました。
 ドゴールの執務するエリゼ宮の大統領執務室の記述など見事です。

 間違い無く、サスペンスものの分野ではベスト作品のひとつでしょう。
 映画や翻訳ものもいいですが、サスペンスファンなら一度、原作に挑戦してみては如何でしょう。

English Level: Advanced
 ライフルの構造の説明のところなどあんまり簡単ではないけれど、プロットが面白いので英語を読むのも苦になりません。