Dover (1966) 224 p |
Story: 20世紀の初頭から1930年代にかけて発展した量子力学の歴史をメインプレーヤの業績を彼らの日常エピソードとともに紹介しながら追っていきます。著者である Gamow 自身も原子核物理学者として量子力学の誕生に貢献したひとりです。 M. Plank の黒体輻射の理論から始まった量子力学の歴史を N. Bohr, W. Pauli, L. de Broglie, W. Heisenberg, P.A.M. Dirac, E. Fermi の仕事を通して解説していきます。最後は湯川博士の中間子論でおわります。 この他、量子力学の発展に関わった主な人々が続々と登場します。本の中に使われている写真には、J.J. Thomson, Lord Rutherford, A. Einstein の顔が見えます。 |
Rating: ★★★★☆ 評者はとても気に入った一冊です。量子力学についてひととおりは知ってはいましたが、こうしてまとめて発展の歴史を振り返ると「なるほどこういう流れだったのか」と改めて納得することもありました。 Gamow 自身、Bohr の研究所に滞在して仕事をしていたこともあり、登場人物の多くはいわば著者の同僚で、個人的なエピソードも交えた説明は科学ジャーナリストなどでは書けない生き生きとしたものになっています。 量子力学って何?と思っているあなた、挑戦してみませんか? English Level: Easy Gamow はロシア人です。彼の英語はとても自然ですが(少なくとも本に書かれている文章を見る限りぎこちないところはありません)使われている単語などは分かりやすいと思います。 問題は物理学に関する基本的な知識でしょうか。一般向けの解説書とはいうものの理科系の素養がないとちょっと難しいかも。。。 |
Story: 相対性理論が社会的なブーム(?)になもなった1920年代に一般向けの「相対論解説書」として、彼自身もノーベル物理学賞受賞者である Max Born が著したものです。いわゆる”お話”だけでは済まさず相対性理論のエッセンスをきちんとわかってもらおうという意気込みを持って書かれたものです。 まず、速度、加速度といった基本的な概念の説明のあと、力学、光学、電磁気学の古典論が説明されていきます。 完璧と思われていた古典物理学理論にどういうほころびが見えてきたのか。「絶対静止座標」「エーテル」といったニュートン力学で仮定されてきた概念が一連の実験事実によって履がえされていくようすが丁寧に解説されてます。 クライマックスは「特殊相対性理論」のエッセンスの説明です。「ローレンツ変換」や、かの有名な「E = mc2」(エネルギー・質量等価則)が明快に説明されていきます。 最後には「一般相対性理論」にもちょっと触れています。 | Dover (1962) 376 p |
Rating: ★★★★★ もしあなたが特殊相対性理論について知りたいとお考えなら絶対にお薦めの一冊です。 評者はこれほど明快に相対論のエッセンスについてまとめたものを見たのは初めてでした。Born 自身が超一流の物理学者ですから、教養書でありながらそこらの解説書を凌駕する内容になっているのも納得です。 また、欧米の近代物理学が絶対座標(宇宙座標)の問題を軸にいかに展開していったのかを説明する科学史にもなっていると思います。物理系の大学院にまで行っている学生さんにも是非読んでいただきたい本です。 一般教養書ということですが、中身はかなり歯ごたえがあるものです。最後まで読みとおすにはそれなりの頑張りが要るでしょうか。 English Level: Intermediate これもまた英語は平易ですが(いくつかの専門用語を初めに覚えてしまえば)、内容の理解には大学教養過程くらいの物理学の素養が望ましいところです。 |